2016年8月12日金曜日

健軍情報83-長い道のり

わたしたちが、戦後71年目を生きているように、
また、東北の方々が震災後5年目を生きているように、
熊本は、これから永きにわたって、
震災後の日々を生きていくのだろう。
それを強く感じさせられるのは、やはり益城の道路を走るときだ。
そこには、熊本市内とはまったく異なった風景がひろがっている。
先日、2週間ぶりに「できたしこ」のボランティアを手伝った。
 益城町広崎地区。
ここがこの2ヶ月間、「できたしこ」が、
がれき処理等に取り組んできた町だ。
拠点としてきた広安愛児園/LECセンターと隣接する、南北に長細い地域で、
被害が最も深刻な総領地区や福富地区とも隣接している。
町を走ると、建物としては形をとどめている家屋も多いのだが、
実際は、全壊や大規模半壊が多いため、
住むことをあきらめて住民が転出したり、
仮設に移ってしまって人の住んでいない家屋も多い。
 「できたしこ」では、これまで地区の町内会を通してニーズを把握し、
困っているお宅の荷物を運んだり、危険なブロック塀を壊したり、
震災ガレキを処理するなどのボランティアを続けてきた。
この日も、広崎の区長さんに紹介された3軒のお宅をまわって、
廃棄処理する冷蔵庫やエアコン、割れた瓦やガラス、ブロック片などを集めて、
トラックで益城町のがれき処理場へと運搬した。
お伺いしたお宅では、1ヶ月前に社協のボランティアセンターに、
ボランティア派遣を申し込んだが、いまだに音沙汰がないという話も聴いた。
FB等を見る限りでは、益城町社協のボラセンでも、
数十名程度のボランティアさんが連日汗を流しておられるようなのだが、
それでも足りていないのか、それともマッチングの問題なのか。
 
ところで、「できたしこ」とパートナーを組んでともに働いてきた
「わかちあいプロジェクト」の事業が、8月末で終了することが決まった。
益城町の震災がれきの処分場は8月以降、
業者さんのみの受入体勢になることがアナウンスされている。
広崎から、さらに被害の深刻な地区に眼を向ければ、
そこにニーズがないわけではないのだが、
ルーテル教会としても、福岡地区から牧師さん方が
がれき処理のために交替で熊本入りしてくださる、という体制を、
これまでのように続けていくことはできないだろう。

ルーテル教会として、「できたしこ」の事業をどうしていくのかは、
また月末に行われる対策本部会議で議されることになるだろうが、
今後の支援のあり方を、考えねばならない時期に来ている。
 
補修工事や解体工事が本格化している市内と違って、
益城の解体工事は、まだ緒に就いたばかりだ。
業者さんに解体工事を頼んでも、益城はがれき処理の効率が悪く、
仕事がはかどらないので、益城と聞いて断られてしまうことも多いのだという。
解体業者さんにとってみれば、益城でなくても仕事は山ほどあるのだから、
効率の悪い益城を後回しにしても、一向に困らないわけだ。
かくして、益城の家屋の解体とガレキ処理には、
これからさき2年の歳月が必要だと言われている。
つまり、長い「震災後」は、
まだはじまったばかりだ、ということだ。
 
写真はすべて益城町

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